Webデザイナー・ディレクターに必要な「撮影ディレクション」の基礎知識 | 株式会社FMC

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2026.09.16

Webデザイナー・ディレクターに必要な「撮影ディレクション」の基礎知識

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Webサイト制作において、デザインの仕上がりや成果を大きく左右する要素のひとつが「写真」です。

弊社では、ディレクターやデザイナーが撮影現場に立ち、カメラマンや関係者へ指示を出しながら進行する場面があります。クライアントの目的を果たすWebサイトを丁寧につくり上げるため、チームの「撮影ディレクション力」を底上げしようと、今回はデザイナーチームを中心とした社内勉強会を開催いたしました。

本記事では、勉強会で語られた「なぜつくり手自身が撮影の知識を持つべきなのか」という根本の考え方から、現場で欠かせない準備、リスク管理、データ取り扱いのノウハウまでを網羅してご紹介します。

1. 撮影ディレクションの知識が必要な理由

撮影ディレクションの最終的な目的は、単にきれいな写真を撮ることではなく、「クライアントの課題を解決し、Webサイトの目的を達成すること」にあります。

  • デザインはクライアントの「分身」

    勉強会では、「デザイン(Webサイト)は、直接ユーザーに語りかけることができないクライアントに代わってコミュニケーションを行う分身である」と語られました。ユーザーの心を動かし、行動を促すためには、世の中の情勢や消費者の事実を正確に把握した上で、明確な狙いを持ったビジュアルをWebサイト上で届ける設計こそが重要になります。

  • 意思決定の円滑化と効率化

    撮影に関する基礎知識があると、事前準備や現場での迷いが減り、明確なイメージを共有できるようになります。結果としてクライアントやカメラマンとのコミュニケーションがスムーズになり、制作プロセスの効率化につながります。

2. 写真の種類と目的別の使い分け

サイト制作では、ストックフォトやお客さま提供素材を活用することも一般的ですが、よりサイトの世界観を統一したい場合や特定の訴求を強めたい場合には、オリジナル撮影が効果的な手立てとなります。勉強会では、撮影を行う際の種類について以下の2つに分けて整理しました。

  • 世界観を伝達するイメージ写真
    ブランド(会社やサービス)の雰囲気やコンセプトの価値を伝える写真です。ストーリー性や世界観を感じさせる切り取り方が求められます。

    会社の世界観・雰囲気が伝わる写真(株式会社アイズ様 )

  • 情報を伝達する説明写真
    商品のディテールやサイズ感はもちろん、社内の設備やオフィスの様子、働く環境の実態などを正確に伝える写真です。ECサイトでの購買判断だけでなく、コーポレートサイトや採用サイトにおいて、ユーザーに安心感や納得感を与える重要な要素となります。

    扱っている商品の説明となる写真(株式会社アイズ様)

3. 事前準備に基づく「撮影リスト」の作成

家を建てる際に設計図がなければ必要な部材が買えないのと同様に、Web制作においてもワイヤーフレームやラフがなければ必要な写真は撮影できません。

  • 課題整理とユーザー理解

    ターゲットが抱く感情や、「購入・問い合わせ・応募」に至るまでの心理プロセスを深く理解するため、事前のヒアリングやリサーチを実施し、Webサイトにどのような要素が必要かを整理します。

  • 撮影リストの策定

    ワイヤーフレームと対になる「撮影リスト」を作成します。どのページのどの箇所に使う写真か、必要なアングル、小道具、モデルの有無などを細かく明確化します。

    ◾️FMCでの工夫
    過去の撮影で「顔出しNGのスタッフがいた」「撮影後に退職予定の方が写っていて、写真を差し替えることになった」というトラブルがありました。現在では、香盤表やリスト作成の段階で事前確認を徹底しています。該当する方はアサインしない、あるいは「後ろ姿や手元のみのカット」に限定してご協力いただくなど、公開後のリスクを減らす工夫を行っています(急な退職で防げない場合もゼロではありませんが…!)。

4. 現場進行とリスク管理

撮影当日のトラブルを防ぎ、予定通りの素材を確実に揃えるためには、事前の計画と柔軟な現場対応が求められます。

  • 香盤表の作成

    当日の時間軸に沿った撮影順序、撮影場所、カット内容を記載した進行表を作成します。撮り漏らしを防ぐだけでなく、現場の状況変化に合わせて撮影順序を組み替える判断軸となります。

    ◾️FMCでの工夫
    例えば、子供が出演する撮影では、お子様のご機嫌や集中力を保つのが非常に大変です。そのため、あらかじめスケジュールにゆとりを持たせ、「子供の出番を優先して先に回す」など香盤表の組み方を工夫しています。

    実際に使用した香盤表

  • ロケーション撮影とロケハン

    ロケ(屋外や実店舗)での撮影では、事前に行う下見(ロケハン)が必須です。現地での撮影可否やNG事項(著作権物、他社のロゴ等)の確認に加え、太陽の位置や光の変化を把握し、香盤表に反映します。

    ◾️FMCでの工夫
    過去て、「ロケハンで決めていた画角に、当日車が駐車されてしまっていて撮れない!」というハプニングがありました。それ以来、単に景色を見るだけでなく、周辺の道路環境や設置物(車が停まる可能性があるかなど)まであらかじめ入念に確認するようにしています。

  • スケジュール調整と天候対策

    関係者(クライアント、カメラマン、アシスタント、デザイナー等)が多くスケジュール調整が難しいため、屋外撮影を行う場合は最初から予備日を設定して日程を確保します。

    ◾️FMCでの工夫
    弊社の場合、1〜2カット程度であれば屋内で代替撮影ができるようなプランも合わせて考えておくことが多いです。柔軟な代替案を持っておくことで、進行の遅れを防ぎます。

5. データ運用と納品管理

撮影データの形式や運用フローに関する知識は、カメラマンとの良好な関係を築き、スムーズな制作進行を行うために不可欠です。

  • RAWデータとJPEGデータの理解

    未圧縮の生の数値情報であるRAWデータと、カメラ内で画像処理された圧縮済みのJPEGデータの違いを正しく理解する必要があります。

  • 適切な納品フローとマナー

    一般的なフローでは、まず未補正のJPEG(セレクト済み)を受け取ってデザインに当て込み、クライアントの許諾が得られたカットのみを現像・納品してもらいます。安易にすべてのRAWデータを要求することは避け、必要な場合は正当な理由と対価(追加料金等)をもって依頼する姿勢が重要です。

6. トーン&マナーの構築


デザインや写真の方向性を決める「トーン&マナー」は、ターゲットユーザーの要素に寄り添って設定します。

  • 「らしさ」の3要素

    世界観は「感情(親しみやすさ、クールさなど)」「時代性(現代的、レトロなど)」「象徴的なモチーフ(連想しやすい小道具や背景、色)」の組み合わせによって作られます。ターゲット層に届く「らしさ」を言語化し、撮影に落とし込むことが大切です。

  • 参考資料の活用

    ペルソナに近いターゲット層に向けた雑誌やメディアを参考に、事前に具体的なビジュアルトーンを関係者間で共通認識として持つことが大切です。

  • 当日の現場配慮

    現状復帰のための事前撮影、安全対策や熱中症対策、機材・備品の片付けなど、配慮の行き届いた現場運営が質の高い撮影につながります。

    ◾️FMCでの工夫
    会社に所属している社員さんを撮影させていただく際、カメラを向けられるとどうしても緊張してしまう方が多いです。例えば弊社では、自然な表情を引き出す工夫として、同行しているデザイナーやディレクターが被写体の方と雑談をし、場を和ませて自然な表情を引き出してからシャッターを切ってもらうという工夫などを行っています。

最後に

今回の勉強会を経て、「なぜWebをつくる私たちが撮影の知識を持つべきなのか」という根本の目的から現場の段取りまで、チーム全体で共通認識を持つことができました。

サイトの目的を果たすビジュアルを妥協せずに追求することと、現場の関係者が気持ちよく動けるスムーズな進行を両立させること。そのどちらも大切にしながら、これからもチーム一丸となってクライアントの課題解決に向き合ってまいります。

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