2026.09.10
【FMCエンジニア部】AIで業務改善ツールを開発。「こんなのあったら面白い」を最新技術で形にする部活動がスタート。
AIを始めとする技術の進化により、IT業界の働き方やサービス開発のあり方は変化しています。FMCでは、最新の技術を活用して新しいツールやサービスを作る社内部活動「エンジニア部」という活動をしています。今回は、エンジニア部の立ち上げの背景から、実際にAIを使ってツールを開発した裏側について、エンジニア部のメンバーにお話を伺いました。

左からエンジニアマネージャー 久保田、エンジニア 小網、代表 安東
対談者
安東(代表取締役)
20代から音楽活動と並行してWebディレクターとして活動。ビジネスとカルチャーの両方の視点を活かし、企業やサービスの魅力を整理し、伝える仕組みをつくっている。久保田(マネージャー/フロントエンドエンジニア)
1994年生まれ。施工管理技士、フリーランスエンジニアを経て2022年にFMC入社。今回の開発では若手エンジニアの技術面をサポート。小網(フロントエンドエンジニア・デザイナー)
2002年生まれ。大学で物理学を専攻する傍ら制作に関わり、2024年入社。今回の開発ではメイン実装を担当。Interviewer:FMC広報スタッフ
IT本来の「ワクワク感」を追求する。エンジニア部誕生の背景
―本日はよろしくお願いします。早速ですが、エンジニア部の活動内容を教えてください。
久保田:よろしくお願いします。エンジニア部は、AIなどの最新技術の理解を深めつつ、それを使って新しいサービスや業務効率化ツールの開発に繋げられないかという目的で行っている活動です。メンバーは代表の安東をはじめ、取締役の熊田、エンジニアの数名が中心で、プロジェクトによってはディレクターが参加することもあります。
―今回、「エンジニア部」という新しい活動が始まった経緯と意図を教えてください。

安東:根本的な大きなテーマとして、“IT業界ならではのワクワク感”をみんなに感じてほしいなという思いがありました。
僕が20代のときのIT業界ってすごく面白かったんですよ。どんどん新しいサービスが出てきて、世の中が変わっていくワクワクがありました。当時僕は、そのワクワクを自分でも生み出せると思っていて、「こんなサービスがあったら面白そうじゃない?」「ちょっと作ってみようよ!」と友達とよく楽しんでいました。その経験が僕の原点にあったんです。
当時のIT業界の人たちは、常識を変えていった自由な人たちという印象でした。遊びに行くような格好で仕事に出てしまうとか、「この業界って何をやってもいいんだ」という空気感があって、自由でかっこよかったんです。Web上で面白い企画をどんどんやっていて、一見遊んでいるのに裏ではめちゃくちゃプロフェッショナルである姿に憧れていました。ITの世界では、本当は自由に遊んだって何の問題もないし、どんな無名な人でもアイディア一つで世の中を変える仕組みを作ることができる面白さがあるんです。
―その自由さとワクワク感が様々なサービスを生み出してきたということですね。
安東:そうなんです。一方で、決められた枠の中での制作ばかりだと、どうしてもそのような面白さを忘れてしまうところがあります。お客様からの依頼をもとにデザイナーが作ったものをエンジニアが再現する。もちろん、デザインを正確に実装していく日々の業務も、決して欠かすことのできない大切な仕事です。ただ今は、AIの活用によって効率化できる部分も増えてきています。
だからこそ、任せられる作業はAIを活用しながら、浮いた時間やエネルギーでもっとクリエイティブな挑戦をしてほしいんです。エンジニア部の活動を通して、「自分たちのアイデアひとつで、世の中をもっと面白くできるんだ」という、僕が当時感じたワクワク感を、みんなにも体感してほしいと思ったんです。それが根本にあるテーマです。
―そのような背景があったのですね。あえて「部活」というスタンスをとったのもそのような理由が関係していたのでしょうか?
安東:あえて「部活」という形にすることで、ブレストしながら「こんなの面白そう」とアイデアを出し合える場にしたかったんです。昔なら何日もかかっていた開発が、今はAIを活用して会議中にその場でプロトタイプまで形にできてしまう時代になりました。そんなスピード感で気軽に実験できる環境を作りたかったのが、部活として始めた理由です。
その過程で、「これって普段の業務でも使えそうだよね」というように、業務に活かせる部分があったら嬉しいなという気持ちもありました。
それと、エンジニア部を始めた理由には、トレンドをしっかりキャッチしたいというのもありました。AIなどの最新技術を業務でしか使わないとなると、実験的に試すことが減ってしまい、トレンドに遅れがちになってしまうんですよね。だからこそ、楽しみながらいろいろな実験ができるよう、部活という形にしました。
また、FMCにはAIや最新技術に詳しい若手のエンジニアたちがいるので、そのエンジニアたちにもっと活躍してもらえる場を用意したいという思いもありました。
第一弾プロジェクト「サイトマップ作成ツール」の開発

―ここからは現場のエンジニアのお二人に伺います。エンジニア部の第一弾プロジェクトとして、実際にどのようなツールを開発したのでしょうか?
小網:はい。第一弾として、「サイトマップ作成ツール」を開発しました。
社内のディレクター陣から、「サイトの見積作成に非常に時間がかかっている」と相談があったのがきっかけでした。ディレクターはWebサイト制作の見積もりを作成する際、対象となるWebサイトにどんなページが何ページあるかを一つひとつ手作業で確認していて、そこに非常に手間がかかっていたのです。「その煩雑な手作業を軽減して業務を効率化したい」という要望があり、AIを活用してサイトマップを自動で書き起こすツールを作ることになりました。
―実際の開発はどのように進められたのですか?
小網:今回は、Webアプリのフロントエンド技術として定評があり、さらに私たちが使い慣れているNext.jsを選びました。また、AIエディターであるCursorを使いましたが、いきなり実装には入らず、事前に実装プランを徹底的に打ち合わせました。
AIに対して「このような流れで進めようと思うのですが、どうですか?」と実装案を出させ、それに対して私たちが「ここはいいね」「この部分はこう直して」とフィードバックを与えて承認していく。この対話的なフローを挟むことで、手戻りを防ぎながら、効率的にシステムを構築していきました。
安東:ほとんど会議中の壁打ちだけで作ってくれていたんです。最新のAI技術を使いこなせる人がいると、ここまで速く作れてしまうのかと感心しました。
逆に難しい所もわかりました。みんなが言うように、ある程度のところまでは簡単にできてしまうんですが、その後詰めていく作業がものすごく手間がかかります。「それっぽいもの」は作れても、それを実用化させて商品にするというのは大変なんだということを再認識しました。
AIだけでは超えられない「実用化とインフラ」の壁

―「会議中にほぼ完成した」とのことですが、その後はスムーズに実用化まで進んだのでしょうか?
小網:それが、そう簡単にはいきませんでした。先ほど「完成した」と言ったのは、あくまで私の個人のパソコン上での話です。ここまではAIの力でスムーズに進んだのですが、完成したツールをインターネット上に公開しアクセスして使えるようにする「デプロイ」という作業で、高い壁にぶつかりました。
―デプロイでどのような壁にぶつかったのか、もう少し詳しく教えてください。
小網:今回は、社内でのノウハウの蓄積にもなるように、VPSを利用して自分たちでサーバーの環境を構築しました。ですがデプロイを進めていく段階で、サーバーでのアクセスの処理能力が足りずにシステムが止まってしまったり、メモリの解放がうまくいかずタイムアウトしてしまったりしました。そのエラーの原因を人の手で特定したため、結果的に多くの時間を費やしました。
―AIを使ってコードを書くのは一瞬ですが、インフラの設定においては一筋縄にいかない難しさがあるのですね。久保田さん、先輩エンジニアとしてこの状況をどう見ていましたか?

久保田:実は、小網くんにVPSのインフラ設定やデプロイをあえて自力でやってもらったのには理由がありました。
今回感じたように、AIを使えばプログラミングコードは簡単に生成できます。しかし、システムを安定して稼働させるためのインフラ構築や、イレギュラーなトラブルシューティングの領域においては、まだAIに頼り切ることはできず、エンジニアとしての専門知識と経験が必要であると考えています。
だからこそ、既存の便利なクラウドサービスで済ませるのではなく、あえてまっさらな環境から苦労して構築する経験を通じて、AIツールに関係なくエンジニアとしての本質的な技術力を磨いてほしいなと思いました。小網くんにとっては非常に大変だったと思いますが、ぜひ経験してほしいなと思い、お願いしました。
小網:実際、「クラウドインフラを使えばもっと簡単にできたのではないか?」と思う部分もありましたが、久保田さんが言うように学びに繋がっていたと思います。一度根本からインフラを構築して失敗を繰り返したことで、「なぜクラウドインフラがAI時代においても変わらず重要視されているのか」ということを、身をもって理解できました。
普段の受託業務では経験できない企画・設計からインフラ・デプロイまでの一連の流れを担当できたという面で、エンジニアとしての自分の業務の幅が大きく広がったなと感じています。
非エンジニアでも作れる時代に際立つ「プロの付加価値」

―今回の開発を通じて、AIと人間の役割、そして「エンジニアの価値」についてどのような気づきがありましたか?
小網:率直な感想としては、「アイデア出しと要件整理さえ明確にできれば、エンジニアでなくてもAIを活用してある程度のプロダクトは作れる時代になった」と感じました。例えば、ディレクターやデザイナーであっても、AIに的確な指示を出せば形にすることは十分可能です。
ただ、実際に作ってみて「想定以上に複雑なデータベース構造が必要だ」と気づいて設計を切り替えたり、先ほどのデプロイのようなセキュリティやサーバー周りの部分を適切に処理したりする直感は、エンジニアならではの知識が必要になります。特にデータベースの構造など、後からの手戻りが極めて大変な部分の勘所を把握しておくことは、開発工数が膨らむことを未然に防ぐという点で、大きな価値があります。
久保田:小網くんが言うように、AIに「どんなアウトプットにしてほしいか」を言葉で説明できれば、誰でもシステムは作れます。しかし、「AIが作ったものを理解し、適切に修正を加える」には専門知識が必要です。
同じAIツールを使うにしても、システムの構造を理解しているエンジニアが指示を出すことで、組み立てるプロンプトの質が変わり、開発の効率や最終的な成果物の品質は数倍になります。そこにこそ、これからのエンジニアの付加価値があると思います。
―ありがとうございます。今回のツール開発を通して、AI時代におけるエンジニアの付加価値を実感できたのは、とても大きな転換点になりましたね。
FMCエンジニア部の今後の展望と挑戦
―今回のサイトマップツールの開発を踏まえて、今後のエンジニア部の方向性や、試してみたい技術について教えてください。
久保田:次はAWSなどのより専門的で管理に適したクラウドインフラ技術に挑戦したいと考えています。AWSは世界中の大企業で使われている標準的なインフラで、高度な専門性を必要とする領域です。AIによる自動化が進む中、HTMLなどのコーディングだけでなく、インフラ領域にも踏み込んでいくことで、お客様によりよい提案ができるようになればいいなと思っています。
安東:今後作っていくツールの方向性としては、業務を効率化するものを作るか、純粋にワクワクする面白いものを作るのか、考えているところです。
業務を効率化するサービスで言うと、今回作ってくれたサイトマップツールはさらに発展できそうで、サイト解析ツールのようにしてサイトマップ作成や見積作成、サイトのチェックツールにするのも良いよねと話しています。
逆に純粋に面白いサービスとしては、例えばFMCのアパレル事業「Hoarders」の来店予約システムだったり、服屋と業者がマッチングできるアプリ、動画版の求人情報アプリなど、いろいろなアイデアが出ています。みんなで考え、思いついたアイデアを共有し合うのも楽しいですし、会社としてもワクワクすることなので、みんなに色々な発想を持ってきてほしいなと思います。そのアイデアを会議中にその場で形にするくらいのスピード感で、どんどんサービスやシステムを生み出せたら良いなと思っています。
様々な技術があふれ複雑化する世の中。ベストな選択肢を“シンプルにわかりやすく”お客様に提案したい

―最後に、安東さんにお聞きします。FMCは今後AIなどの最新技術とどう向き合っていきたいと考えていますか?
安東:そうですね。FMCが以前から大切にしている、「世の中をもっとシンプルに、もっとわかりやすく。」という姿勢を大事にしたいと思っています。
最新技術によってどんどん便利になっている時代ですが、同時に色々なことが複雑化し、迷うことも多くなっていると思っています。何をするにしても、その手段やツールは世の中に溢れていて、「結局どれを使えばいいの?」とか、「どれを使えば自分の会社の良さが生かされる?」という課題が出てくると思うんです。
そんなときに、「あなたにとってベストな選択肢はこれだと思いますよ」と案内できるような存在になれたら良いなと思っています。AIにできることとしては、生産性を上げるとか、指示を出してものを作ってもらうとかがあると思いますが、そういった「あなたにとってのベスト」を提案するにはやはり人間が良いと思うんです。
僕たちFMCは、メンバーそれぞれが詳しい分野や得意な分野をもっていますから、それぞれの分野で過去の経験や事例などを活用しながらAIを駆使して、お客様にいい提案ができると良いと思っています。
―AIや最新技術を使いこなすには、それぞれの専門性が大事だと言うことですね。
安東:そう思っています。今回のプロジェクトで感じたことは、自分がやってきた音楽の世界でもあてはまることが多いです。例えば、AIで曲をつくろうとしたときも、指示を出せばそれっぽい曲を誰でも作れます。しかし、音楽をよく知っている人が指示を出せば、「Aメロはこうして」だとか「Cメロでこのような盛り上がりポイントを作って」「音符をこうして」だとか、より詳しい指示を出すことができるので、音楽に詳しい人が作るほうが良いものが作れると思うんですよね。
だから今回のようなコーディングの場合も、エンジニアがAIを使うのと詳しくない人がAIを使うのでは大きな差があると思うんです。
僕たちの専門性やそれぞれの得意分野を活かしながら最新技術を活用し、お客様にとっての「ベストな選択肢」を提示していきたいです。
―そのための第一歩として、エンジニア部の活動が動いているのですね。エンジニア部のこれからの活動が楽しみです。本日はありがとうございました。

今回の記事では、新たに動き出したエンジニア部の活動についてご紹介いたしました。
最新技術を自分たちで実際に試し、アイデアを形にする。そんなクリエイティブを楽しむ実験の場として、エンジニア部は活動しています。今後のエンジニア部の活動を、ぜひ楽しみにしていてください!
