2026.06.16
「イラレで十分」を卒業する。InDesignで変わるページ物制作のきほん
デザイン制作の現場において、「Illustrator(イラレ)で事足りている」「InDesignは起動時の設定が難解そうで、なかなか手が伸びない」という声は少なくありません。事実、単発の広告や数ページのパンフレットであれば、慣れ親しんだツールで作り切ることは可能です。
しかし、ページ数の多い冊子やカタログなどのページ物を扱う際、InDesignは最適なツールとして活躍します。本記事では、社内で行われたデザイナー勉強会の記録を基に、InDesignとの正しい向き合い方と、効率的な管理手法について解説します。

InDesignとの向き合い方
キャンバス思想の違い
FigmaやIllustratorなどは、十分に大きいキャンバスや自由なアートボードの上に、まず要素を置いてから形を整えていく「キャンバス思想」のツールです。作りながら仕様を固めていく柔軟さが強みと言えます。
対して、InDesignは「最初に厳密な枠組み(仕様)を決定する」ことから始まります。紙のサイズ、綴じの方向、マージンの設定などが決まっていないと、作業を先に進めることができません。後からこれらを大幅に変更すると、全体のレイアウトが崩れ、調整に膨大な時間を要するためです。この「最初にルールを定義する」ことが、InDesignを扱う上での大前提となります。

レイアウトグリッドは「オリジナルの原稿用紙」
InDesignの新規作成画面で現れる「レイアウトグリッド」は、初心者が最初につまずきやすいポイントですが、これはその本のための「オリジナルの原稿用紙」を設計する作業です。
組方向、文字のサイズ(級数)、行と文字数、そして「原稿をどこから配置するか」という基準点となる天・小口(※天=紙面の上側、小口=本を開く外側のこと)を数値で定義します。
この設計を丁寧に行うことで、紙面全体の文字の位置を一括してコントロールできるようになります。感覚ではなく、数値に基づいた組版の土台を作る作業と言い換えることができます。

2つのテキストボックスの使い分け
InDesignには、役割の異なる2種類のテキスト配置ツールがあります。
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レイアウトグリッドツール(青いボックス)
文字数や行数が整数倍に制限される、組版用のツールです。長い本文を美しく、一定のリズムで流し込む際に活躍します。 -
プレーンなテキストボックス(白いボックス)
Illustratorと同様に、自由なサイズで配置できるツールです。文字の整数倍に縛られたくない見出しや、細かなデザイン要素に適しています。
「見出しはプレーン、本文はグリッド」というように、役割に応じて使い分けることが、美しく管理しやすい紙面を作る鍵となります。

なぜページ物でInDesignを選ぶのか
勉強会では、Illustratorでページ物を作る際の「現実的な限界」についても議論されました。例えば、50ページのカタログを1ページずつ別々のイラレファイルで管理していた際、微調整のたびに全ファイルを開き直さなければならず、管理が非常に困難になった(忌々しいデータだった)という実体験が共有されました。
また、500ページに及ぶような大規模な冊子をIllustratorで作ろうとすると、PCのメモリを圧迫し、アプリケーションが停止してしまうリスクも高まります。InDesignは、こうした「大量の情報を、一つの安定した環境で統合管理する」ために最適化されています。

繰り返し作業を自動化する強力な機能
InDesignの本質は、単純な繰り返し作業の排除にあります。
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段落スタイルと文字スタイル
書式を一括登録し、一箇所変更すれば全ページの該当箇所が自動更新される仕組みです。 -
マスターページ
共通のレイアウトやページ番号を自動で生成します。 -
テキストのスレッド機能
テキストボックス同士を連結させることで、数百ページの文章を一気に流し込み、自動でページを増やすことができます。
これらはIllustratorでは再現が難しい機能であり、制作時間を短縮するだけでなく、ヒューマンエラーを防ぐためのセーフティネットとしても機能します。

まとめ
InDesignを使用することは、「同じ操作を何回も繰り返していないか」を自問自答することでもあります。ツールの自動化機能を正しく活用し、設計に時間をかけることで、最終的なアウトプットの質とスピードは確実に向上します。まずは小規模なページ物から、その設計思想に触れてみることをお勧めします。
なお、FMCでは、カタログや冊子をはじめとする印刷物の制作実績も多数ございます。美しい組版・レイアウトはもちろん、全体の企画からデザインまで一貫した制作サポートが可能です。
「多くのページを抱える制作を効率化したい」「クオリティの高いパンフレットを作りたい」といったご要望や、ページ物制作に関するお悩みがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。





