2025.06.10
株式会社ビッグウェーブ様 「見直す」から「前に進める」サイト制作。勉強会実施で加盟店と創り上げた新しい風【お客様インタビュー】

(左から)FMC安東、BW伊藤様、BW森川専務、カイテン畠山社長、BW大場様
全国のリサイクルパーツの流通を支える株式会社ビッグウェーブ様と、そのネットワークに加盟し、秋田県で自動車リサイクルパーツの販売を含む幅広い事業展開を行なっているカイテン株式会社様。
今回はビッグウェーブ様によって、加盟店各社の個別サイト制作プロジェクトが始まりました。カイテン様は、その挑戦にいち早く参加した加盟店パートナーの一社です。
私たちFMCは、本プロジェクトの構想段階から参加させていただき、制作とコンサルティングを担当させていただきました。
この記事では、プロジェクト進行における様々なエピソードをお話いただきました。ぜひご覧ください。
Interviewer
FMC広報スタッフ/代表取締役 安東 裕二
FMC:本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございます。まず、株式会社ビッグウェーブの森川専務、大場様、伊藤様。そして、ビッグウェーブの加盟店であり、秋田県で事業を展開されているカイテン株式会社の畠山社長、高橋様。本プロジェクトで制作、コンサルティングを担当した、弊社代表の安東です。どうぞよろしくお願いいたします。
一同:よろしくお願いします。
業界全体が肌で感じていた危機感
FMC:まず、本プロジェクトが始まる前の状況についてお伺いします。業界全体として、どのような課題や危機感があったのでしょうか。
ビッグウェーブ(以下、BW)大場様:このプロジェクトの発端は、一言で言えば「今のリサイクルパーツ販売だけでは、加盟店の将来が危ういのではないか」という業界全体の強い危機感からでした。これはコロナ禍よりも前から本部内でも議論されていたことで、決して新しい問題ではなかったんです。ただ、その危機感が年々、無視できないレベルまで高まっていた、というのが正直なところです。
FMC:加盟店の現場を預かるカイテンの畠山社長は、その危機感をどのように感じていらっしゃいましたか?
カイテン 畠山社長:まさに肌で感じていましたね。特に、全国規模の大手車買取サイトが増えた影響は大きかったです。我々のような地域に根差した事業者にとって、リサイクルパーツの「原材料」となる中古自動車の確保が、どんどん難しくなっていました。仕入れが減れば、当然ビジネスは成り立ちませんから。
BW 大場様:そうなんです。全国15社からプロジェクトメンバーが集まった最初の会議でも、様々な意見が出ましたが、特に多かったのが「そもそも“事業としての体力”がなければ、新規事業どころか現状維持も難しい」という現場の切実な声でした。
理想と現実のギャップが浮き彫りに
FMC:「事業としての体力」、つまり中古自動車を確保するために、個人ユーザーから直接買い取るという「買取サイト」の構想が生まれたわけですね。当初はどのような計画だったのでしょうか?
BW 大場様:当初は、我々ビッグウェーブ本部が全国対応の買い取りサイトを一括で構築する計画でした。資金的に余裕のある加盟店様は自社でサイトを立ち上げられますが、小規模な事業者にとってはハードルが高い。ならば、本部がその受け皿となるプラットフォームを用意すれば、加盟店全体が平等に参加できるのではないか、と考えたんです。
FMC:全加盟店のための仕組み、非常に理想的に聞こえます。しかし、その構想には課題もあったと伺っています。
BW 大場様:おっしゃる通りです。理想を現実に落とし込もうとすると、いくつもの壁が見えてきました。まず、全国で認知度を上げるための膨大な宣伝広告費。次に、車の買取価格やお客様のニーズが地域ごとに全く違うため、統一的な仕組みでは対応が難しいこと。そして、それら各地域の事情に柔軟に対応できる本部体制が整っていなかったこと。理想と現実のギャップが浮き彫りになり、正直、プロジェクトは暗礁に乗り上げかけていました。
「各加盟店に合わせた個別サイト」へ転換
FMC:その困難な状況を打開するきっかけが、弊社との出会いだったのですね。FMCは当時、この状況をどう見てどのような提案をしたのでしょうか?
FMC 安東:そうですね。当初、皆様の理想は非常に素晴らしいと感じましたが、一方で、このまま進めることには危うさを感じていました。そこでビッグウェーブ様と壁打ちをしながら話が具体化してきたのが、「本部主導の全国サイト」ではなく、「各加盟店に合わせた個別サイト」を展開するという方向性です。
FMC:主役を本部から加盟店へ、ということですね。
FMC 安東:そうですね。本部が用意するのは、あくまで高品質な「基本サイト」。それをベースに、カイテン様のような各加盟店が、自社の強みや地域性にに合わせて自由にカスタマイズし、「自分たちのサイト」として運用していただく。問い合わせも本部に集約するのではなく、直接各加盟店に届くようにする。この方が、現実的で、かつ加盟店様にとってのメリットも大きいです。
BW 大場様:加盟店ごとにそれぞれ特徴や事情が異なります。たとえば、「問い合わせはメールがいい」という店舗もあれば、「LINEの方が便利」という店舗もありますし、利用しているSNSの種類や有無もバラバラです。そういった個別の状況に柔軟に対応できる「使い勝手の良さ」を大切にしました。
FMC:プロジェクトが本格的に動き出すにあたり、まず何から始められたのでしょうか?
FMC 安東:まず、初期段階には月に1〜2回のペースでワークショップを実施しました。参加者には、現状の課題や改善点を洗い出してもらい、その場で意見を出し合う形式です。
具体的には、加盟店から本部に求めることや、理想の集客方法などを議論し、どのように進めるかを検討する期間でした。通常、プロジェクトが始まるとすぐに「作りましょう!」という方向に進みがちですが、今回はその前にお互いに整理し、方向性を共有する期間をしっかりと設けました。
ワークショップの中では、「Why」「How」「What」を決めるために、なぜこのサービスを立ち上げるのか、どのように実行するのか、どんな価値やメリットを提供できるのかを話し合いました。このプロセスを通じて、プロジェクトが目指すべき方向性を明確にし、目標達成に向けた共通理解が深まりました。半年間にわたるこの期間が、とても重要だったと感じています。
BW 大場様:そうでしたね。毎回のミーティングごとに「次回までにやるべき課題」や「検討すべきポイント」を明確に提示していただけたのがとても進めやすかったです。
プロジェクトチームが共同体となり、スピード感ある進行に
FMC:方針転換後、プロジェクトは一気に加速したそうですが、その成功の要因は何だったと思われますか?
カイテン 畠山社長:それはもう、「キャッチボールとスピード感」に尽きますね。皆さん忙しい中で、「うちの会社のためにここまで動いてくれてる」と感じられると、こちらも「やるしかない」と本気になれる。FMCの安東さんの提案に対して、うちの高橋がすぐ動く。そのやり取りを見ていると、自然と熱量が高まっていきました。
BW 大場様:本当にそうですね。FMCさんには、ただ制作をお願いしたというより、「伴走してもらった」という感覚が強いです。毎回の定例会で課題を明確に提示してくれたおかげで、プロジェクトが「見直す」段階から「前に進める」段階へとスムーズに移行できました。この安心感は非常に大きかったです。
FMC 安東:皆様のレスポンスの速さには、こちらが驚かされるほどでした(笑)。特にカイテンの高橋さんは、私がお伝えしたことをすぐに実践してくださって。元々、皆様が「これからデジタルに本気で向き合わなくては」という強い想いをお持ちだったからこそ、これだけのスピード感が生まれたのだと思います。プロジェクトは人が増えるほど遅れがちですが、今回は全員が同じ熱量でコミュニケーションをとれたことが、何よりの成功要因だと感じています。
サイト公開後の変化
FMC:チームとしての連携意識が確かな成果につながったわけですね。カイテン様では、具体的にどのような変化がありましたか?
カイテン 高橋様:はい。おかげさまで、サイト公開後は問い合わせからの成約率が非常に高く、大きな成果を感じています。ですが、それ以上に大きな変化は、社内の意識です。サイトが“作って終わり”ではなく、「もっと良くするために何ができるか」という視点で、社員から積極的にアイデアが出るようになりました。会社として、継続的に改善していく文化が芽生えたと感じています。
カイテン 畠山社長:そうですね。自分たちの手で事業を成長させていくという、「自走する力」が育ってきた。これはお金では買えない、何よりの財産です。
FMC:ビッグウェーブ本部としては、このカイテン様の成功をどのようにご覧になっていますか?
BW 森川専務:まさに、我々が目指したかった理想の形です。加盟店それぞれにメリットが生まれることで、結果的にビッグウェーブというプラットフォーム全体が活性化していく。そうした良い循環が生まれる仕組みを、ようやく形にできたと実感しています。
サイトは生まれただけで終わりではなく、どう育てていくか
FMC:さらに、サイト公開後、新たに「勉強会」という取り組みを始められたそうですね。その背景を教えてください。
BW 大場様:これは、FMCさんからの「サイトは生まれただけで終わりではなく、どう育てていくかが重要です」というアドバイスがきっかけです。正直なところ、我々も加盟店さんを訪問する中で、Webやシステムに強い方は少ないと感じていました。そこで、FMCさんにお願いして、本当にWebの「基礎の基礎」から学べる勉強会をスタートさせたんです。
FMC:勉強会に参加されて、カイテン様はいかがでしたか?
カイテン 高橋様:非常に有意義でした。SEOやMEO対策など、実践的な知識を学べたことで、社内でできることの幅が格段に広がりました。学んだ内容が、実際に買取サイトからのお問い合わせ増という成果にしっかりつながっていると実感しています。
FMC 安東:大手の企業は多額の予算をかけてWeb集客を外部に任せることもできますが、それが必ずしも正しいとは限りません。予算を止めれば問い合わせも止まってしまう。そうではなく、自分たちで知識を身につけ、スキルを磨けば、お金をかけずとも成果を上げられる。この勉強会は、加盟店の皆様が「自走する力」を身につけるための、大切な投資だと考えています。
加盟店と共に良い循環を生み出す取り組みを
FMC:最後に、今回のプロジェクトを通して見えてきた、今後の展望についてお聞かせください。
BW 森川専務:まずは、この買い取りプロジェクトの仲間をもっと増やしていきたい。そして、カイテン様のような成功事例をどんどん生み出していきたいですね。本部単独では何もできませんから、加盟店の皆様と「みんなでやっていこうよ」と盛り上げていく。それが本部の役割だと思っています。
カイテン 高橋様:今後は、この買取サイトをさらに強化し、県内だけでなく、県外のお客様にもアプローチできるようにしていきたいです。サイトを育てていくことで、お客様との接点をさらに広げていきたいですね。
カイテン 畠山社長: 夢は見るものじゃなくて、叶えるものだと思っていますから、止まらないで次のことを考えていかないといけません。買い取りだけじゃなく、一般のお客様に直接部品を販売するサイトを立ち上げる、なんていうのも面白いかもしれないですね。
FMC:素晴らしいですね。このプロジェクトは今後どのように発展していくとお考えですか?
FMC 安東: 皆様の中に「サイトができたから、こんなアプローチもできるんだ」という新しい発想が生まれ、夢が広がっていることが、私にとって何より嬉しいです。このプロジェクトを通して、ビジネスの関係を超えた「共同体」のような感覚が強くなりました。この素晴らしい関係性を土台に、これからも社内一丸となって、皆様の夢を形にするお手伝いをさせていただきたいと思っています。
FMC:本日は、貴重なお話をありがとうございました。共通の危機感をバネに、加盟店様との信頼関係を築き、未来に向けた新しい仕組みを創り上げていく。今回のプロジェクトは、変化の時代である今の世の中にとって、大きなヒントとなる事例だと感じます。今後のさらなるご発展を心よりお祈りしております。
株式会社ビッグウェーブ
昭和61年設立、自動車補修用リサイクルパーツの商品化および、独自の全国流通ネットワークを用いた販売事業を手がけている。
全国有数の使用済車両分解業者が集まり、部品在庫の共有化を図ることから事業を開始。その後、独自のネットワークシステムを構築し、現在では商品保証書を添付するなど明確な品質基準も確立している。2025年には複数のネットワークを統合し、利用者が全国の在庫を一括検索できる環境を整備するなど、常に顧客の利便性向上を目指している。
カイテン株式会社
昭和58年設立、秋田市に本社を置き、自動車リサイクルパーツの販売を中核事業としながら、新車・中古車販売、部品等の海外輸出、保険代理業、陸送事業、産業廃棄物処理事業など、自動車関連分野で幅広く事業を展開している。平成9年より株式会社ビッグウェーブのネットワークに加盟。
自動車運送事業(緑ナンバー)、廃棄物収集運搬・処分業といった、自動車関連の主要ライセンス4種をすべて取得。秋田市中心部の工業団地内に約2,300坪の事業敷地を有し、充実した設備環境を背景に複合的なサービスの提供を可能にしている。